「とぼけてんじゃねえよ!
聞いてたんだろ!? 今の話!!」
「蓮……!」
「正弘は黙ってろよ」
誰?
怖いよ。
こんなの蓮くんじゃない。
蓮くんじゃない!!
自分でも気づかないうちに、涙がこぼれていた。
だって……こんなの私の知ってる蓮くんじゃないよ。
「美琴ちゃん……おいで?」
私は、正弘くんに連れられてあの空き教室に入った。
――……
「ひっく……」
静かな空き教室には、私の泣き声だけが寂しそうに響いている。
「どこから聞いてたの?」
「わかんない……」
「なんで泣いてるの?」
「わかんない……」
「……蓮のことどう思ってるの?」
「………わかんない……」