なんの話かはさっぱりわからなかったけど、早くここを離れた方がいい。

「百合……行こ?」


こそっと百合に言って、蓮くんたちに背を向ける。

そのときだった。


「てめえにだって俺の気持ちはわかんねえだろ!?」


という蓮くんの怒鳴り声に、私は腰を抜かしてへたりと座り込んでしまった。


「美琴!」


それと同時に、蓮くんと正弘くんは私たちに気付いてしまったみたい。

蓮くんも正弘くんも、目を見開いて固まっている。


絶対に……聞かれたくない話だったよね。


どうしよう……どうすればいいの?


「れっ、蓮くんこんなところにいたんだね!
探してたんだよー?

さっきのリレーのことなんだけ「今の聞いてた?」


せっかくごまかそうとしてムリヤリ笑顔を作ったのに、蓮くんに遮られてしまった。


笑顔がひきつっているのが、自分でもわかった。


「ねえ、今の聞いてたの?」


いつもと違う蓮くんの冷たい目に、言葉がでない。


「なんのこと?」


そんな私に気づいて、百合が代わりに答えてくれた。