もたもたしているうちに、もう私の前の人が走り始めていることに気づいた。

ヤバイヤバイヤバイ……!!

「落ち着け美琴!」

「れ、蓮くん……?」


何週間ぶりかわからないほど久しぶりに話しかけられて、涙が出そうになった。

「肩の力をぬいて、とにかく足を高く上げて走れ!」

もう、すぐそこまできているバトン。


―パシッ


私の手に、バトンが握られる。

「うん!」


私は力強くうなずいて、全力で走り出した――……