朝礼も終わり柏本に言われた通り、部長室に向かった。
‘‘コンコン’’ 「営業二課の有馬です。」
そう言うと中から「どうぞ、入りなさい」
と、中年男性の声が聞こえた。
「失礼します」 そう言って扉を開けると
中に、声の主である中年男性(部長)
の他に2名、男が立っていた。
一人は私の先輩で今は営業一課の課長
佐山 理久。
もう一人は、名前 しらないし、見たこともない。
「やぁ、有馬君。急に呼び出してすまないね。」
「いえ、お気になさらずに。ところで私は何故呼びだされたのでしょうか?」
そう尋ねると 部長では無く佐山先輩が
答えた。
「君に来てもらったのは、他でもない。
ここにいる 営業一課の宮野と組んで、
アフラントホテルに、うちの商品を営業、販売してもらいたいんだ。」
「…………え?」
驚いた。だって、アフラントホテルといったら、世界各国に名を轟かす超高級ホテルで世界の皇室や首相、大統領まで使用する、有名ホテルだ。
「あの、お言葉ですが、私は営業二課ですよ?そういった大手との取引や営業は一課の仕事のはずでは………?」
「確かに二課は、一般家庭や大型スーパー
或いは、老人ホーム等を相手に取る、いわば庶民向けの営業だ。対して一課は皇室や
総理邸宅、大手企業の社長などを相手取るいわば金持ち向けの営業だ。」
「はい。わかっています」
「しかし、君の成績を見る限り庶民に向けて、‘‘若干高くともいい素材の物’’をバンバン売って 一課の成績を軽く超えている。
つまり、君のその営業能力を駆使してアフラントホテルへ、うちの商品を売って欲しいんだ。」
「………そんな事を言われましても……」
私の成績が良かったのは、一般国民に向けての営業だったからで、今更 有名ホテルを相手にしろなんて、むちゃでしょ。
「宮野君には君の補佐を頼みたいんだ。
中々優秀でね。営業一課の若手ホープなんだ」
どうやら、私に拒否権はなく話は進むようだ。
「わかりました。やらせて頂きます」
はっきりというと、部長はパッとした顔をして「本当か!!よろしく頼むよ有馬君。期待しているからね」
そういわれた。