昼休みに嫌々生徒指導室に向かう。


僕は何も悪いことはしてないんだ、
と言い聞かせても、先生とふたりで
話すのはやっぱり嫌だ。



ドアを開けると、既に担任の吉田先生が座っていた。

「おっ、すまんな、翔太。
話はだいたい聞いてるからお前は確認だけだから安心しろ。」


本当に花瓶の話は2、3分で終わった。


「それよりな、翔太。
お前、数学大丈夫か。」
先生は勉強の話に切り替えてくる。



「ま、まあ…。苦手ですけど。」


「お前、国語はあんなに得意なのになあ…。実はな、今度の土曜に補習があるから、お前も出るか?」



げっ、補習?!
それだけは勘弁だ。
ただ、吉田先生は担任兼数学の担当だし、断ると色々ヤバそうだ。


「…はい、行きます。」

「そうか、偉い!お前も受験生だしな。まあ、ウチはエスカレーター式で大学に進めるとはいっても、今のうちから勉強しとかないと、大学で困るぞ。」

「…はい。」

勉強の話は早く切り上げたいので適当に返事をする。



僕の学校は内部から大学に進学することもできる。
もちろん外部受験も可能だけど、面倒なのでそのまま進学する者も多い。

僕自身も、できるだけ勉強して
無理そうなら内部進学でもいいかなあ、
なんて呑気に考えている。
だからあまり受験勉強にも身が入っていないんだけど。