何もないまま時間が過ぎていく。
あとは放課後を残すのみだ。


「よし、じゃあ号令かけてー。」
ガタガタとみんなが立ち上がる。


「気をつけー、礼」
「さようならー」

俺はなんども古川の方を見てしまうが 向こうは視線すら合せてこない。


こちらから声をかける訳にも いかないので、俺はのろのろと 下駄箱に向かう。


最後の最後まで期待してしまって、 靴ヒモをわざとゆっくり結ぶ。

何やってんだよ、バカなんじゃないの、と自分でも思う。


ぐずぐずしていると、 古川は友達と帰ってしまっていた。