「岡田くんも補習?」

「あ、いやこれはさ、自主的っていうか
別に強制的に呼ばれたとかじゃなくて…。」

ほとんど嘘だ。
補習参加者はプリントが配られるのだが、僕はプリントこそ貰ってないものの、
先生に呼ばれたんだから強制みたいなものだ。


「へぇーっ、すごいね!岡田くん賢そうだもんね!補習なんか呼ばれないか。」

「べ、別に賢くはないよ。」

「嘘だー、賢そうな顔してるもん。
私は古典呼ばれちゃったんだよねー。」

「え、そうなんだ。」
僕はてっきり古川はとても勉強ができると思っていたので、少し意外だった。

「私、理系科目はまあまあなんだけど
文系がさっぱりで。」

「俺はその逆なんだ。」

「え、そうなの?!じゃあ、岡田くんは古典得意?」

「まあ、どちらかというと…。」
正直言うと、国語はかなり得意だ。
学年で1位をとったこともある。
古川にこのことをすごく自慢したいけど、嫌われたくないので控えめにしておく。


「いいなあー。
じゃあ今度分からないとこあったら岡田くんに聞こうかなー、なんて。」

そのとき、さえーっ、と友達が古川を
呼ぶ声がした。

「あ、友達が呼んでるから。じゃね。」
と言って古川は走っていった。