窓を開けると、もう9月なのに
蒸し暑い風が吹き込んでくる。



今日から、新学期が始まった。
3年の2学期だからか、さすがに
日焼けしている顔は少ない。



古川 沙英は
僕の右斜め前に座っている女子だ。


僕は彼女の横顔をちらっと見た。



…うーん、やばい。
なんか可愛いくなっている、気がする。
長い間会っていなかったら、
そう思うだけか?




「岡田くん、おはよーっ!」

「あ、ども。」

挨拶してきたのは、
隣の席の田中 ちなつ。


「岡田くんは相変わらずクールだよねー
あたし、もーちょっとリアクションしてくれないと寂しいんですけどー?」

と、ふざけながら言ってくる。



…違うんだよなあ。
リアクションしないんじゃなくて、
できないだけだって。



僕は心の中でため息をつく。