「うちは、離婚じゃないんです。お母さんが病気で死んじゃった」

めいっぱいの笑顔を作ったつもりだったけど、今でも誰かにこの話をすると涙が溢れてくる。

思い出すのは、死にたくないよ、と言ったお母さんの顔。

「嘘だろ、それ」

マナ先輩は、低い声でそう言って、握り拳で机をゴツンと叩いた。

「結局、神様なんていねぇんだよ。オハナみたいな良い子がどうしてそんな悲しい思いしなきゃいけないんだよ」

そんな風に言ってくれるとは思ってなかった。

今まで話した数人の友達も、そうなんだ、ごめんね、となぜか謝った。

「オハナ、負けんなよ。お前ばっかりにそんな試練が来るのはおかしい。絶対、逆転するから。オハナが笑える人生になるから」

「マナ先輩、いつも思うんですけど、そんなにも私のこと考えてくれて……本当にありがとうございます。なんて言うか・・・・・・マナ先輩がものすごく支えになってます」


マナ先輩は、そんなことねぇよと照れた顔をした。

その顔がたまらなく好きだと思った。


うわべの慰めの言葉じゃないのがわかる。

マナ先輩の言葉は、心から出ている気持ちのこもった言葉だ。