「ほーんと、この子ってば面食いよね!だから男運無いんじゃない?」
…カッチーン!
それ地雷なんだけど!
「何よ!
ミサキちゃんだって、人の事言えないでしょ?!」
私の好みのタイプと似てるって事、知ってるんだから!
「あら、けど私はそれだけで好きになったりしないわ。
一緒にしないでくれる?」
心外と言わんばかりの口調。
「あっ、そう!
知らないわよ!
ミサキちゃんの恋バナなんか!」
…
「あ、のー」
私たちがギャーギャーと言い争っている間を申し訳なさそうに、栞が遮る。
そこでようやく息継ぎが出来た。
「ケンカ中ごめんなさい。
2人が仲良くじゃれあってる間に、もう予定立てたんで」
と、由樹の手帳に印された日にちを指差す。
「今月の30日。
千草ちゃんも含めたこのメンバーで海に行くんですけど、ミサキさんもどうですか?」
「なっ!?」
私が反論しようとすると、みんなが人差し指を唇に当てて“黙って”と言ってくる。
「ねぇミサキ!
ミサキも一緒に海行こうよ!」
これまた一段と嬉しそうな千草ちゃん。
あぁ…そっか。
「海?」
みんな、千草ちゃんを応援しようとして…
「はい!行きましょうよ!
もう全然、他にも3年の先輩呼んでくれて大丈夫なんで!」
…なるほど、そっちか。
「ミサキさんの水着ってどんな感じですか?」
…こっちはもっと個人的な希望だな。
もちろん、このセクハラまがいの台詞は栞から発せられている。