あと3日で夏休み。



みんな夏休みの話で各々盛り上がっていて、


学校は浮かれモード。



みんなみんな、
何でそんなに夏休みが嬉しいの?!


…いや、嬉しいけどね。



私は追試のせいで、浮かれてられる余裕が全く無い。


まぁ自業自得なんだけど。


そんな中、誰よりもイキイキしているのは彼だった。


「夏休み入ったら新人戦があんねん!めっちゃ楽しみ!」


彼のその嬉しそうな笑顔は、夏の爽やかさそのままだった。


紺野君はもう既に、うちの高校でもレギュラー入り間近らしい。


同じバスケ部のクラスメイトがぼやいていた。


「そうなんだ!
頑張って!」


紺野君と話していると、

夏の暑さも、追試への不安も

かき氷みたいにサラサラと無くなっていく。


「ありがとう!
ほんで…それ終わったらさ、」


「ん?」


「デートしようや」


私は思わず口をぽかんと開けた。


「忙しい?」


首を横に振ると、切れ長の目が私を捕らえる。


「せやったら、俺とどっか行こうや」


『あの子、アンタに惚れてるんじゃない?』


ミサキちゃんの言葉を思い出した。


まさか。


前から自分の中で繰り返してきた言葉。



以前の私なら浮かれて、はしゃいでいたはずなのに、今はネガティブな考えでいっぱいだ。


原因はわかってる。


あの2回の失恋が、確実に私を臆病にしていた。