「心…顔あげて?」


変わらない声のトーン。


だけど、最近少しだけ低くなったのをわたしは知っていた。


恐る恐る顔を上げると、わたしの目を見てミサキちゃんがにっこり笑った。


「心…あのね…」







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「懐かしいわー、アイス買いに行ったっきり戻ってこない二人を清人さんが必死に探したのよね」


「いやー、ホントに心配したんだよ。
二人とも可愛いから誰かに連れ去られたんじゃないかってね!」


ハハハ!


フフフ!


と笑い合うご夫婦を眺めながら、私はぼんやりしていた。


あの時…ミサキちゃんは何て言ったんだっけ。



あの後の記憶がひどく曖昧で、思い出せない。