「ほんなら俺、これで失礼します」


紺野君が頭を下げる。


「おぉ、気を付けてな」


「あ…また明日!」


二人で手を振る。


紺野君の後ろ姿が見えなくなったところで、おじさんが口を開いた。


「…中々カッコいい子だね」


「え?うん、そうだね。」

「彼とはその…どうゆう付き合いなんだい?」


ぎこちなく尋ねるおじさんが何だか可愛くて、心が温かくなった。


お父さんも生きてたら同じように言うのかな…


「紺野君は普通に友達だよ。
彼氏が出来たらおじさんに紹介するから安心して」


「そうか、楽しみにしてるって言いたいところだけど…複雑だなぁ」


「そんなんじゃ心がお嫁に行く時、泣いちゃうよ?」


「勘弁してくれ、想像しただけで泣けてくる」


おじさんが顔をしかめた後、二人で顔を見合せてまた笑った。


「心が岬のお嫁さんに来てくれたらなー完璧なんだが」


げ、始まった。


「無い無い!
それは無いってば!」

「そうだよなぁ…」


がっくりと肩を落とす。


可哀想なおじさん…

        ・・・・
大事な一人息子があんなんになっちゃって…


しかもミサキちゃんなら、お嫁に行きかねないからなぁ…