「…いいいま、なんて言いました!?」



「だから、可愛い顔がだいなしだよ?って…」



デレの一つもないような顔で答えてくる琉先輩。



「…先輩…」



「ん?」



「男って、体目当てなんですか?ヤれなければすぐ別れちゃうんですか?」



「……は?」


琉先輩は、なんてこと聞くんだよって言葉に出そうなくらい驚いた顔で見てくる




「…そ、そりゃー。。人それぞれかもしれないけど、ヤりたいんじゃない?」



「……そうですか」



やっぱり、男の人ってこういう生き物なのかな


そう考えてると




「…でも、ほんとにその人のこと大切にしたいなら、我慢するよ。自分の気持ち抑えてでもね。…彼女の幸せが1番なんだろうから」


と、他人事のように話してくる。




私は、何故かその言葉が心にグサッときた。



じゃぁ、太樹は、、私のこと大切って思ってなかったんだね



そんなことを思うと、また涙が出てきた




「…お前…彼氏となんかあったんだろ」



琉先輩は、子供を慰めるように、しゃがんで私の顔を見る




「なんで…知ってるんですか……」




そう聞くと


「……ヤるだのなんだの話してたら予想つくわ」



あ…



なんとまぁ、私はそんな恥ずかしいことを琉先輩に……



私は急にに体温が上がった感じがした



「大丈夫、、か?」


顔真っ赤だぞといいながら、私のほっぺを触る



その手にビクッと反応してしまう



それを見て、ふっと、笑う琉先輩



「…話……聞いてくれますか?」




「…うん」



私は、太樹に遊ばれてたこと、私は本気

だったこと、フられたことを伝えた


一つ上の先輩には関係ない話だったが真面目に聞いてくれた




「…桜」



「…はい。」



琉先輩はそーっと顔を近づけてくる




「……えっ。ちょっ、先輩?」



先輩が近づくのに反比例するように後ろに下がる




「…いたっ!」



「なーに勘違いしてんだバーカ」



「…うほ…」


うほ。そう出てしまったのは琉先輩が頬をつねるから


私…てっきりキキキキキスをされるのかと…


「初対面のやつにキスなんかするかよアホ」



「…なっ!別に、キスされるとか思ってませんでしたから!」



すると、ふーんと意地悪な笑を浮かべる琉先輩




「…じゃなんで、そんなにお顔が真っ赤なのかな?」



「…へっ」


私は、涙目になっていたのかわからないが、その目を見て



ごめんごめん、からかいすぎたと謝ってきた




「…先輩。ここにいちゃまずいです」



「…は?なんで?」


少し曇った顔で聞いてくる




「……さっきから、彼女さんらしき人が探してますよ」




「…彼女?そんなのいねーけど…」




「……は?」



驚きの言葉過ぎて、今まで出したことない言葉が出た。





「…えっいや、だって今…」




耳をすませると、



「琉〜どこ〜?」


とか、1人ではなく、複数人の声が聞こえる




「…琉先輩……」




「何?」



「琉先輩って…彼女何人いるんですか?…恐ろしいです」




「……は?」



そのあと、ぷはっと笑い出す琉先輩



「な、なんで笑うんですかっ!悪いのは琉先輩ですよ!!」




「いや俺彼女いねえから。さっきの人たちはただ俺につきまとってるだけ」





つきまとう?



ってことは、琉先輩を好きな人?



「…な、なんだ……びっくりした」




琉先輩は噂通り優しい人なんだと、安心して笑顔がこぼれた




「………」



「琉先輩?」



「…んっ、、え、あっ。何?」



「あ、いや。。ぼーっとしてたから…」


すると、何かを考えるかのように眉間にシワを寄せる琉先輩





「…明日から、放課後、ここ来いよ。」



「…え?」



「だから。明日から放課後ここ来い。そして、俺の話し相手な」



「………えっ!!?!」



嫌ですとも言えない。でも、断る理由もない。



うちの学校の吹奏楽部は、空き室の広い場

所で部活を行うため、この小さな音楽室で

は行わない。


だから、断る理由がないのだ。





「…わかり、、ました。」




そう返事するしかない。





そして、私たちはそれぞれ教室に戻った