「だから赤くなりすぎだって」



「あんなに近くなったら誰だって赤くなるよ!」



と、ちょっとそっぽを向いてみる。


ごめんてば、と笑いながら


七瀬君は嬉しそうに弁当を持っていた。



「機嫌直して、こっち向いてよ」



急な至近距離に硬直していた私の顔は


相当酷かったらしい。


七瀬君はまだ面白そうに笑っている。



「じゃあ、弁当も渡せたし、教室戻るね」



本日のミッションは済んだのだ。



「あ、昼休みにそっちに行くよ。待ってて」



「待つって何を?」



「……俺をだよ。たまには一緒にお昼食べよう」