「これ俺の分?」



「……へ?」



「これ、お弁当でしょ」



「あ、うん……」



と曖昧な返事をする。


このお弁当を作ったのは私だ。


でも、昨日の私はそれを


すずのやのお弁当として渡してた。


今日もそうやって渡すつもりだった。


それでも、周りはさっきの女子みたいに、


市販の弁当なんてって思う人もいるだろうし、


もしかしたら、それで七瀬君にも


不快な思いをさせているかもしれない。


そう考えた瞬間、渡せなくなってしまった。


彼女としての自覚が足りないんじゃないのだろうか、私。