昨日と同じように10分休みの間に、
私は七瀬君の分のお弁当を持って、
彼の教室へ向かっていた。
「あ、そういえばさ。
七瀬君、最近彼女できたよね」
教室に入ろうとしていた私の足が止まる。
廊下の近くで座っている2人の女子が
話しているのが見えた。
「あー、知ってる!
昨日うちのクラス来てたよね。
なんか市販の弁当渡してた」
「え、嘘。知らないんだけど。
まじかー、普通彼氏にコンビニ弁当とか渡す?」
「だよねー。
そもそもそんなんで彼女なのかって感じするけどね」
「ん、確かに」
彼女たちにとっては大した話題でもなかったみたいで、
すぐに別の話へと移っていった。
私も気にせずに教室に入ればいいのに、
動けない。
今の話にちょっとしたショックを受けている自分に
戸惑っていた。