北校舎三階の一番奥、それがトイレのある場所だった。レクリエーションルームからは大して離れていなかったのだが、暗いころには変わりがなく、千尋と百合は恐怖心が膨れ上がっていた。


トイレに到着し、二人は中に入る。啓人がつまらなそうにしながら壁に凭れ掛かったのが見えた。


先に中に入っていた百合が入口脇のスイッチを押して電気をつける。


―片付けやらランドセルを取りに行ったりで忘れていたけど、そういえば私もトイレに行こうと思ってたんだった。入ろ。


最初は待っているだけのつもりだったが、自分も入ることにした。百合が入ったトイレよりも入口に近いトイレに入る。


学校のトイレは和式が多く、しゃがまなければならない。しかも、下に7、8センチくらいの隙間もあるため、完全個室というのからは少し離れていた。


そして、トイレの部屋自体は横に並んでいるが、便器は縦に並んでおり、ボーとしているといつも隣のトイレに入っている子の上履きが見えた。だから、この時もボーとしながら百合の上履きが視界に入っていた。


ボーとしつつも立ち上がり、服を整え便器の脇に付いているレバーを押して流そうとした。


流そうとした、のだが、千尋の目には有り得ないものが映っていた。