片付けは終わり、これでもう帰れるはずだった。


さて帰るかー、なんて思ったその瞬間。啓人が再び口を開いた。


「千尋、それに不二も荷物は?まさかその手提げだけしか持って帰らないわけ?」


え、と思い自分の今持っているものを確認する。そうすると、確かに無かった。…書初めの鞄以外…


書初めはスポーツではないけれど、それでも集中力が大いに必要となる。そして1~2時間も続けていれば、終わったあとの疲れは半端なものでは無かった。


そんなわけで、千尋はランドセルが今どこにあるのか、咄嗟に思い出せなかった。


そして千尋が答えられないでいると、百合が喋りだした。


「あ、ランドセルと手提げ教室に置きっぱなしだ!取りにいかないと」


「二人とも荷物持ってこなかったの?取りに行くなら先生一緒に行こうか?」


啓人が文句を言う前に谷がそう聞く。


「大丈夫です。二人で取ってきます」


二人いるし大丈夫、そう思い千尋は谷の申し出を断った。そうして百合とともに教室に荷物を取りに行くのだった。