私はそれに気づいた瞬間
ガバッとベッドの布団を顔まで被せた。

夏場だから、熱くて、息苦しいけど、今はそれどころじゃない。

なんで先輩がここにいるの…?!

頭がぐるぐるして
手にはいっぱい汗をかいている。

胸の振動も異常なくらい
大きくなっていて。


『須田さん……、起きてる?』

「……….…っ!」


カーテンの向こうで私に話しかける先輩。

せ、先輩が私の名前を呼んでる….…

返事、しなきゃいけないのに…….…
緊張しすぎて声が出ない。


『….……….…。』

「….……….…。」


きっと先輩は、私が寝ていると思っているだろう。

それでいい、それなら先輩とお話ししなくてすむ。

あの、先輩とお話しするだなんて、
夢のまた夢。

私は先輩を見ているだけで良い。

少し話しただけで何も始まらないことも分かってるから。

….…そう、思ってたのに………