名刺を差し出し、そこには『リンドウ』の文字だけ。



「リンドウは苗字じゃないの?名前は?」


リンドウは困ったように笑えば、

「リンドウが俺の名前だよ」

と曖昧に返される。


「あと2ヵ月か…。」

「うん……。」


「リンドウに会えてよかった。」

「……そっか。」


「そんなに悲しまないで。

前から死にたいって思っていたし、病気で死ねるなら好都合よ」


ふわりと笑えばさらに顔を歪ます。


「力になれなくてすまない」

「いいのいいの。それより今何時?」

重たい空気をどうにかしようとパチンと手を叩く。