結局、何度聞き返しても2度と教えてくれることはなく…


「南くんのケチ、どケチ。」


ふて腐れる私をよそに、南くんは珍しく楽しそうに笑っている。


「みみみ南くん!!分かってないでしょ!?南くんの笑顔は犯罪級なんだから!!そんな簡単に笑わないでっ!」


直視できない!
か、カッコ良すぎる…

やっぱり、笑うと出来るエクボは人懐っこそうに見えるのになぁ。


どうしてこんなにも、クールなんだ南くん。


「じゃあ、お前には2度と笑わない。」

「……えぇええ!!!ち、違う!そういう意味じゃなくて…や、やだ!笑ってくれなきゃやだよ〜!」

「今日は良く駄々こねる日だな。」


再び南くんの腕をブンブン振って、自分の失言を取り消してくれと請う私に、南くんはまた言葉とは裏腹に優しく笑うから


「…〜〜!」


あぁ、また恋に落ちた。

いや、落ちっぱなしなんだけどね。


常に1番の深みにいて、抜け出せた試しがないんだけどね?


「行くぞ。」

「え………!!!!」

「え、じゃなくて。祭り行きたいんでしょ?」


違う、違うんだって南くん!!

”祭り行きたいんでしょ?”じゃなくて


「み、南くん!ててて、手が…っ」


大きな南くんの手に、すっぽり包まれる私の手。冷んやり冷たいその手は私の体温を落ち着かせるかのようにギュッと握られている。



「今日だけな。」

「そ、それは…今日だけ南くんの彼女になってもいいってことですか?」


「……自惚れんな。」


はい、違いました。
でっすよね〜〜〜!!!

じゃあ手なんて繋がないで欲しい!!ドキドキしすぎてお祭りどころじゃない。