「私たちも行こう!」


南くんに笑いかけて歩き出せば、すぐに私の腕は南くんに捕まった。


「祭りは行かない。」

「へ…?」


今なんて???


「だから、祭りには行かない。」

「や、やだやだ!!なんで?だって、せっかく南くんのために浴衣着てきたのに!南くんと一緒に祭りに行けないなんて意味ないよ!」


5歳児のように駄々こねる私は、そのまま南くんの左手を握りブンブン振り回す。


「ねー、南くん!ちょっとだけ行こうよ〜!」

「……俺のために水着の次は浴衣かよ。」


そんな私を呆れたように見つめている南くんの目はどこか優しい。


「…え?…うん。」

「俊哉と来てたとしても、浴衣だったんじゃねぇの?」


……確かに、そう言われれば否定はできない。せっかくだから、って着てたかもなぁ。


「……ほらな。来て良かった。」


「…え?」

「んでもない。」


え??素直に聞こえなかったのに!!!