「へぇ、俺より俊哉がいいわけ?」

「そうじゃないけど…でも、!!!?っ南くん??」


鳥居前に1人、しゃがみ込んでいた私の前には私服姿の南くんが見える。


あれ…ついに幻覚まで見えてる?


「でも、なに?」

「…わ、私…南くんに会いたすぎて、南くんの幻覚まで見えるようになっちゃった。」


それでもいい!!!
いつでも会いたい時に南くんに会えるもん!!


「っ…何わけわかんないこと言ってんの。本当バカだな。」


そう言いながら私の手を引っ張り、立ち上がらせた南くんは、私服姿なだけなのにいつもと雰囲気が違って心臓が保ちそうにない。


「…ふふ」

「キモい。いや、まじで。」


いいよ、キモくても。
南くんが来てくれたことがこんなにも嬉しいんだから、今の私にはどんな言葉も効かない。


「宮坂くんと茉央ちゃんは、先に2人でお祭り行ったよ。気持ち通じればいいなあ。」


ふふっと再び声を漏らした私に、


「ま、大丈夫だろ。」


と、南くんは珍しくまともにお返事をくれました。