【黙って俺だけ見てれば?】
その言葉が、私の鼓膜を震わせて脳に届くまで

どれだけの時間がかかっただろう。


「…もっと俺でいっぱいになればいい。そしたら、俺がこんな焦る事もなくなる。」


その言葉と同時に、私の髪をくしゃっと触る南くんに息をするのを忘れそうになる。


さ、酸素マスク!!!
いや、酸素ボンベ!!!!

酸素ボンベ下さい!!!

足りてません、酸素の取り込み方を忘れました。至急、酸素を下さい!!!


「〜〜っ、み、みみ南くん!!」

「ん?」

薄々、思ってたけど…もしかして、もしかしてさ?


「…南くん、熱あるでしょ?」


そう言いながら南くんのおデコへと手を伸ばす。

なんか、南くんが史上最高に変だもん。新種の流行病に感染しちゃったのかもしれない。

もうインフルエンザも流行ってるし、お熱にうなされてるってこともあり得る。


「ん〜?…熱はなっ!?」

「…いい加減にしろよ。」


本当に、心の底から善意でお熱を測っていただけなのに…お熱を測っていた私の手を掴んでグイッと引き寄せた南くんの眉間にはシワが……


な、ななな、なんで?!