人もまばらな校門までの道を、駆け足で進めば


「み、南くんっ!!!」

「っぉわ!…お前…なぁ…」


南くんを見つけた瞬間、喜びメーターがMAXになった私は思わず抱きついてしまった。


そんな私に、驚いたらしい南くんはバランスを崩しながらも私を受け止めると…その後、いつものように呆れた視線を向けてくる。


「ご、ごめん…嬉しくて、つい!」

「……ったく…こっちの気も知らないで。」

「え?!…ちょ、待って待って!!」


私を引き剥がしたあと、スタスタと先を歩き出す南くんの後を慌てて追いかける私。


いつもなら、振り返る事のない南くん。そんな南くんが


「佑麻…」

「っっ!」

私を呼びながら振り返るから、口から心臓出すとこだったじゃん!!危ない。


「…な、なに?」

「松浦里樹…だっけ?」

「へ…!?」

な、なんで南くんが松浦くんの話題なんか振ってくるんだ!?

私、一言も言ってないよね?え?顔に書いてたりする?嘘、まじ?

……なんで、なんでと考えているうちに南くんが再び歩き出す。