「佑麻、誕生日おめでとう。」
「…っ、」
一層力を込めて抱きしめながら囁けば、佑麻の体に力が入る。
「……南くん、ありがとう、大好き!」
「っ!」
佑麻のことだから、泣くかと思ってたのに、そんな笑顔ってアリかよ。
俺の胸の中から顔を上げ、俺の背中に腕を回した佑麻に心臓がギュッと苦しくなる。
なんだこれ。
苦しい…いや、切ない?
でも、なぜか温かくて心地いい。
「南くん、も、もしかして…わざわざそれ言いに来てくれたの?こんな寒いのに!!」
「…違う。」
「へ?…ち、違うの?!」
あからさまにガッカリした顔で俺を見上げる佑麻を不覚にも可愛いとさえ思う。
「言ったじゃん、」
「…え?」
きっと、俺はもうとっくに気付いてた。
「佑麻に会いたくて、会いに来た。」
「…っ!?///」
認めたくなかった。
ウザったくて仕方なかったこいつがいないとつまらないとか、
他の男にちょっかいだされてんの見ると腹立つとか、
そんな感情、知りたくなかった。
知りたくなかったのに、
それを知っている今の俺は
完全に、こいつに落ちている。