家を出て気付けば走ってて、
白い息が、寒さを伝えている。
「っ、はぁ…はぁ…」
角を曲がろうとした俺は、角を曲がって来る人影に足を止めた。
「…み、南くん!」
「…家にいろって言ったじゃん。」
そこには緩い部屋着の上にコートを羽織った佑麻がいて、
「南くんが会いたいなんて言うから…何かあったのかと思って!それで、急いでて…あの、こんな格好で…ごめん…」
段々と小さくなる声でそんな事を言うから
「俺が会いたいって言ったら、そんなにおかしいわけ?」
「…っ、」
気付いたら、そのまま引き寄せて自分の胸の中に閉じ込めていた。
「今日、何の日?」
「え!?…あー、えっと…乙葉ちゃんの「そうじゃない。」
「っ、あ!南くんと私のケーキ記念日!」
こいつ、ばかすぎないか?
この際 自分の誕生日ってことは隠し通すつもり?…もうバレてるっつーの。
「…何で今日誕生日だって、言わなかった?」
「…っ!な、なんで分かったの?」
驚いて俺を見上げようとした佑麻の頭を、再びキツく抱きしめれば大人しく俺の胸の中に収まる。
「早く言えよ。なんもプレゼント用意できなかった。」
誕生日だって知っていたら、プレゼントだって用意できたのに。
「そ、そんなことないよ!私 南くんと1日デート気分味わえて…最高のプレゼントだった!!」
俺の胸の中で、パタパタと手を振りながら嬉しそうなその声から…素で思ってるんだなってすぐ分かる。
こんだけ単純ばかだから、他の男たちに隙突かれるんだよ。
分かってんのかな。
…分かってるわけねぇよな。