もう11月も終わり。

風は一段と冷たくて、すれ違う恋人たちはみんな手を繋いでる。

私たちも、周りからは恋人同士に見えてるのかな?


もし、そうなら嬉しいな…なんて。


自分の冷え切った手を見つめれば少しだけ寂しさに襲われるけど、隣を歩く大好きな南くんを見上げればそんな寂しさも消えていく。


「なぁ…」

「ん?」


珍しく、南くんから声をかけられて反射的に返事をすれば


「……俺のどこが好きなの?」


少し、遠慮気味な南くんに心臓を鷲掴みにされた。


なに、この可愛い生き物っっっ!!
そんなの聞かなくたって分かってよ。


「全部。南くんの全部が好き!」

「〜っ」

「あ!南くん今 照れて「ない。」


嘘だ!いつもクールで余裕たっぷりの南くんなのに、ほんのり耳まで赤い。

…気がするだけ、かな。


「あ、でも1番好きなのは、笑った顔…かな。へへへ。あ、あとジャージの時だけ見える鎖骨が好き。あとね!」


「もういい…変態。」


「えー!まだまだあるのに!!」


自分から聞いてきたくせに、もういい…なんて。私の南くんへの愛をなめてもらっちゃ困る!!

教えて欲しいと言われたら余裕で語りあかせちゃう自信があるんだから。


「ウザいくらい伝わってきたからもういい。」

「届けたりないよ〜。」



そんなことを話しながらの帰り道。
何だか、今までで1番 南くんが近く感じるのは…どうしてだろう。

南くんと過ごせた今日が幸せすぎて、離れるのが怖い。

ゆっくり、ゆっくり歩く私に、何も言わずに合わせてくれる南くん。


いつか、理由なんてなくても”会いたい”って気持ちだけで会えるような関係になれたらいいな。