映画、開始から40分。
「はぁ……。」
自然にため息が出るのは、隣でスヤスヤと寝息を立てて寝ている森坂佑麻のせいだろう。
つーかお前この映画、観たかったんじゃないわけ。
『”ねぇ、松風くん。”っていう最新作のラブストーリーが映画化して、先週から公開してるんだって!!』
ここへ来る前の、佑麻の言葉を思い出しながらスヤスヤ眠り続ける佑麻を横目で見る。
「ったく…」
席に座った直後は、分かりやすいくらい緊張してたくせに…気付けば熟睡。
そういうとこだよ。
俺がお前に”本当に俺のこと好きなの?”って言いたくなるポイント。
もし仮に、俺と部屋に2人きりだったとしても、こいつ完璧寝れるだろ。
いや、俺以外と2人きりだったとしても…絶対 寝れる。
それって、本当に俺のこと男として見てんの?って聞きたくなる。
まぁ、こんだけ散々 振り回しといて今更 男として見られてないとか言われても困るんだけど。