「…何か言った?」

「な、何でもない!」


私のこと好き?なんて、南くんがちょっと優しくなったからってあり得るわけないのに。


とんだ馬鹿野郎だな、私は。


「ガトーショコラ半分やる。俺、甘いの苦手。」

「えっ!!苦手なのに付き合ってくれたの?ご…ごめんね?」

「食えないわけじゃないし、別にいい。」


そう言いながら一口 口へと運んだ南くんは”あっま”って顔をしかめてて可愛い。


可愛い可愛い可愛い!!!


「人のこと見てないで早く食えよ。」

「ふふ、はーい!……ん〜!おいひい!」


やっぱり木苺タルトが1番好き。サクサクしっとりなタルトと、甘酸っぱい木苺のコラボが何とも言えない。


「随分、幸せそうに食うな。」

「当たり前だよ、今日という日に南くんとケーキ食べてるんだもん!!」

「今日という日?今日、何かの日なわけ?」


ドキッ


「…き、今日は私と南くんのケーキ記念日ね!」


ここでサラッと誕生日だって言えば良かったのに!と、後から後悔しているのは自分自身で、自分で自分が嫌になるとは、このこと。


「勝手に変な記念日作んな。」


そんな私を絶対嫌だと言わんばかりの形相で見てくるのはいつも通りの冷めた南くんなのに、どこか優しくて温かい。