「で、どうする?」
「えーっと…」
「いいよ、佑麻の好きなとこからで。」
なななな、なんだ!?
南くんが優しい!!本当のデートみたいでキュンキュンする。
大丈夫かな?私、ここで全部の運を使い果たしたりしないよね?
あれから、「じゃあ楽しんでね!」「お互い初デート…だね」なんて、茉央ちゃんと、黒崎ちゃんはデートへと繰り出してしまった。
そして、取り残されてその場から動けなくなっている私に南くんが優しく声をかけてくれているわけなのですが…
き、緊張しすぎて言葉が出てこない!
「何からみたい?」
「え、えっと…じゃ、じゃあキリン⁈」
「なぁ、知ってた?…ここ水族館。」
「…〜〜っ」
どんだけテンパってんの私!!
あーー、もう!!
「ったく、じゃあテキトーに行くか。」
「△%*♯っ!!!」
言うなり、私の手を握り歩き出す南くんに驚きすぎて言葉にならない言葉が飛び出した。
「…いちいちうるさい。」
「だっ、だって!!!て、手が!」
引きづられるように歩きながらも必死に驚いている理由を伝えようとする私に
「だって、デートなんでしょ?」
やっぱり、南くんはどこまでも余裕しか感じられない意地悪な顔で笑う。
あー、もう目がウルウルしてきた。
なんで私、南くんなんて好きになっちゃったんだろ。このままじゃキュン死にさせられてしまう!
どんなに頑張ってもこの男にはきっと一生敵わない。
「南くん、やっぱり大好きぃ〜!」
「あんまデカイ声出すなよ。」
「だって、好きぃ〜!」
「なんで半泣きなの。もう知ってるから黙ってろ。」
あー、いつかこうして南くんと2人で本当のデートをする日が来るといいな。
その時は、私がお弁当作って…南くんが『うまい』なんて……。
夢物語かな。