何で単細胞なの私。
こんな時にパソコン並みの脳みそなら良いのにって今まで何度思ったことか!

あー!もう南くんがそんなんだから…そんなことばっかり言うから私


「そんなこと言われたら、私バカだから期待しちゃうってば…」


いつだって南くんは、思わせぶりな態度ばっかりでずるい。

私ばっかり好きでずるい。


「ふっ……したけりゃ、すれば?」



私の心の中を全部見透かしているであろう南くん。


そんな優しい笑顔でそんなこと言われたら…私もう無事に1人で部屋にたどり着けるかすら心配になって来た。

途中で鼻血流して倒れてるかも。


「ぐふ……」


あー、どこまでも余裕な南くんが憎い。


でも、期待してもいいの?私もっともっと頑張るけどいいの?!

南くんも少なからず私のこと…って思っててもいいの〜〜?!


「先生に見つかんないうちに早く戻れよ。」


それだけ言うと、いつの間に買ったのか右手にペットボトルを持った南くんは私に背を向けて部屋へと歩き出した。


「あ、南くん!…えと…おやすみなさい。」


慌てて呼び止めた私に振り向いてくれる。少し前までは振り向いてくれることもなかったあの南くんが、足を止めて振り向いてくれる!!!

それだけて幸せオーラが出そう。



「おやすみ。」


意地悪なわけでも、無愛想なわけでもない。どこか優しい声色でそう呟く彼は、私が好きで大好きで愛しくて仕方のない男の子です。