「とりあえず、先にお風呂行こ〜よ!」


部屋に着くなり、茉央ちゃんの提案で大浴場へ行くことになった。


京都の旅館もすごく良かったけど、大阪のホテルもやっぱり大きくて綺麗!


お風呂も楽しみだなぁ〜ふふふっ♪


「黒崎ちゃん!お風呂上がりの濡れ髪で山田くんに迫っちゃうのはどうかな?」


「えぇ!…ぬ、濡れ髪で…それって何か効果あるのかな?」


「よく聞かない?色っぽく見える〜みたいな話!!」


大浴場までの道のり。

黒崎ちゃんの告白が上手くいくように、気合の入っている茉央ちゃんの言葉に私も耳を傾ける。


濡れ髪って色っぽいんだ〜。


へぇ、勉強になりますなぁ。
やっぱ、茉央ちゃんってやれる女だよね。男のツボを分かってるって言うか…



なんて話してるうちに、地下の大浴場前に到着。



大きく『湯』と書かれている。


「お?茉央たちも今から?」

「あ!礼央くん!一緒だね〜」


まさかの向こう側から男子軍もやって来て、もちろん中には南くんもいるわけで


ちょっとだけ、顔を合わせづらい気がするのは自分からキスについて触れて…それをスルーされてしまったからだろうか。


「山田くん…お風呂あがった後、少し時間あるかな?」

「お、俺?…いいよ。じゃあ、上がったらそこのベンチで待ってるから、ゆっくり入って来て。」

「あ、ありがとう…!」


モジモジしながらも積極的な黒崎ちゃんを見ながら、いいなぁ〜って。告白したら結果はどうにせよ、ちゃんと返事を貰える。その関係が羨ましい、なんて思ってしまう。


私は南くんに何度 好きを伝えても、”へぇ”とか”あっそ”とか、ちゃんとした返事がもらえない。

だから、諦めもつかない。
ううん…それは言い訳かな。