そうと決まれば…


「ここらへんかな?」


私はインカメラを起動させて角度を調整し始める。


そんな私をさぞ不思議そうに、いや不審そうに見つめ続ける南くんに構うことなく


ーーーーカシャッ


シャッターを押せば、まぁ…いいか。ぐらいの写メが撮れた。


そして、【舞妓さんになったよ♪】とだけ打ち込んで画像と一緒にお母さんに送信。


きっと、きっときっと”可愛い”って言ってくれると信じて。



ーーーーピロン♪


数分後メッセージ受信音が鳴り、慌ててスマホを確認した私の目に飛び込んできたのは


【あら〜!七五三を思い出すわね!お土産待ってる^o^】


「…お、お母さんまで…。」


どこに顔を白く塗った七五三がいるのか見てみたいよ。


「ぶっ、結局 七五三呼ばわりじゃん。」


「か、勝手に見ないでよ!!」


後ろから南くんに覗き込まれ、慌てて振り返れば、整った顔を崩して笑う南くんに胸がトキメク。


ここまで来たら、ヤケクソだ!誰か1人でいいから可愛いって言ってくれないかな…


と、周りを見渡せばイチャつく2組の男女。それと他の観光客の群れ。

私の隣には冷血な南くん。


ダメだ…不可能だ。
この場に工藤くんがいたら、サラッと言ってくれるだろうに。

………ん?工藤くん……


ははーん、良いこと思いついた。