「それって、本当に俺のこと男として見てんの?」
南くんの声が、少し掠れてて…聞いていて凄い胸がギュッてなる。
「お、男として…って」
「……だから、」
それだけ言うと、南くんは距離を詰める。さらに近くなった南くんの顔に、もう目を開けていられなくなって
ギュッと硬く目を閉じれば
ーーーーーコツン
え?あれ?……
「……はぁ、行くぞ。」
「え!…今のって…ま、待って!」
キス、されるかと思った。
実際は、おでことおでこをコツン…ってされただけだったけど。胸のドキドキが治らない。
スタスタと何事もなかったように旅館の出口へと向かう南くんを、私はただ追いかける。……な、何だったんだろう。