私の心の中には南くんしかいないのに、2度と話せなくなったら私…生きていけない。


「…じ、じゃあ先に歩いてるから…!」


宮坂くんの言葉で、みんなは魔法が解けたかのように動き出して

渋々、私も宮坂くんたちの後を追って、旅館の出口へと…


「っわ!?」

「なんでお前も行こうとしてんだよ。」

「へ…!?」


私の二の腕を捕まえた南くんは、そのまま引きずるように私を歩かせて


「みみみみみみ…!!!」


近くの壁へと追いやった。


「……なんでそんなに警戒心ないの。」


やっとの事で聞き取った南くんの言葉を脳内で整理しようにも…


「ち、近い!!」


こんな近くに南くんの顔があったら何も考えられないんだってば!!!


「…今もそう。逃げようと思わねぇの?」

「み、南くんから逃げる必要なんて…」


あるわけない。
むしろ、どんなに追いかけたって全然 届かなくて…いつもいつも、私は南くんに手を伸ばしているんだから。