「もう離してあげなよ、工藤くん。」


苦笑いを浮かべながら茉央ちゃんが助け舟を出してくれて、


「まだ、足りてないんけど?」


って、言いながらも離れてくれた。
男の人に抱きしめられてるって言うのに不思議とドキドキはしなくて…

ただ、南くんに見られてるって思うと違う意味で心臓がバクバク音を立てる。


あー、もう!
ここまで平和に楽しんできたのに…なんか凄い嫌な予感がする。



「とにかく!工藤くんは自分の班に戻らないと。みんな待って…っ!!」


後ろから抱きすくめられていた体の拘束が解けたのをいいことに、工藤くんへと振り返った私は、


そのまま、工藤くんに手首を引き寄せられ


ーーーーチュッ


唇を奪われた。


「ごちそうさま!またね。佑麻ちゃん。」


「……なっ///」



ななななななにしてくれんのよーー!!!!!何、今の。事故?事故かな?間違って手首引っ張ったら…唇がぶつかっちゃった!的な!ね?


そんな私を見つめて、その場にいたみんなが固まった。そして、私は動けない。体が動かない。


「みんな先行って。すぐ行く。」


南くんがいきなり口を開いたかと思えば、その場にいたみんなの顔に青筋が入る。


「み、みみ南くん…」


すごい、怒ってる!!!
見るからに怒ってる!!!

なんで南くんが怒るの?そう言えば…嶋中くんにキスされた時も……2度と話しかけんなって…


やだ!!やだやだ!!!
あんなこと2度と嫌だよ〜〜!