「あんまり甘く見ねぇ方がいいスよ」

取り巻きが言う。

「あの『野獣』とも親しいって話スから。あいつらがつるんで敵に回ったら、ちっと面倒じゃないスか?」

「……」

鏑木は取り巻きを睨んだ。

「何だオメェ…俺がそんな探偵と野獣に負けると思ってんのか?」

「あ…いえ…」

「パトカー事故らせて、交番放火して拳銃強奪して、敵対する暴力団にカチコミかけた事のあるこの俺が、負けると思ってんのか?」

「ん、んな事ねぇス…鏑木さんより強ぇ奴なんていねぇッス」

「そうだろ?」

一切の反論を許さない。

鏑木の周囲には、そんな恐怖支配が確立されていた。