青年がVIPルームを出て行った後。

「おい」

鏑木は取り巻きの1人に声をかける。

「アイツが負けた探偵って誰だ。知ってるか?」

「千代田区の平川町に事務所開いてる奴でしょ?すぐ暴力振るう性質の悪ィ探偵って有名スよ」

取り巻きは答えた。

「何でも、鬼首會総本部の強制捜査の時にも、警視庁に捜査協力を依頼されるくらいの凄腕だって」

「へぇ…」

高い酒をボトルでラッパ飲みしながら、鏑木はニヤリと笑った。

「そんな奴がいんのかよ…何か追い込みかけたら面白そうだな…」