>>柏木色香side
「日向のこと好き。どうしたらいいかわかんない…キスしたい。」
私の消え入るような声に、日向が目をみひらいた。
そして、何か言いたそうに口を開いて、思いとどまってやめた。
シーンと静まり返る私の部屋。
「いーちゃん遅いねー、もう出来上がっちゃうよ、私が全部作っちゃったじゃんかぁ」
そんな愛里の声が、うっすらと、見えない壁で囲まれた2人の世界の外から聞こえるみたいで、
それはその時、言葉として私の脳に認識されないただの外界の音だった。
何を考えているのかわからない日向がまばたきをする。
長いまつ毛が綺麗にまたたいて、それがとても愛しいと思う。
もうまつ毛が、1本1本見えるくらい近くにいる。
膝立ちになり、まだあぐらをかいていた日向の肩を両手で支える。
私が、スッと力をぬくと
私と日向の唇がかさなった。
日向が自分の顎を引いて唇を離すと、私は日向を見た。
しばらく何も考えずに日向を見つめる。
…ダメだ
「日向、かわいいよ…」
私は何も抵抗しない日向に、またキスをはじめた。