「お、お止めください!」
「いーじゃん矢代、お前もたまには休めって。なっ?」
「律様!」
予感は見事的中。
「お邪魔しまーす!」
両手にお菓子とジュースを抱えた親父が、元気いっぱいに入ってきた。
後ろでじーちゃんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「あ、矢代お疲れ〜! 下がっていーぞ!」
「し、失礼いたしました」
うぉい!!
失礼じゃねーし、むしろ失礼なの親父だし! 下がるのお前だし!
つっこみきれない予測不能な行動に軽く頭痛がする。
歩はポカンとしてこの光景を見ていた。
状況についていけてない歩に、ヤツが気持ち悪いくらいの笑顔で話しかける。
「初めまして〜東條 律っていーます」
「あ、水谷 歩です」
「歩ちゃんねー! 奈津とはどういったご関係で?」
「おい!!」
暴走した親父のももの裏に蹴りを入れる。
「初対面でいきなりぶっ飛んだ話すんな!」
「お前、俺を足蹴にするとはいい度胸だなぁ!」
「ぁあん!? やんのかコラ!!」
もう冗談だか本気だか分からない口喧嘩が始まる。