口悪いしやたら俺に冷たいくせに、意外と律儀なとこあんだな。
ソファーに座り、包みをテーブルに置く。
「まぁ…ありがと。お前も座れよ」
歩はまだ落ち着かない様子で、遠慮がちにもう1つのソファーに腰を下ろした。
しばらく沈黙が続く。
「大丈夫なのか?」と聞こうとしたが、俺は開きかけた口を閉じた。
「あいつとどーなったの?」とか、「これからどーすんの?」とか。
聞きたいことは色々あるけど、触れていい話かどうか分からず、やっぱり黙り込むしかなかった。
歩から言うのを待つしかないと思い、俺は灰皿を出して煙草を1本くわえる。
引き出しを開けてライターを探すがないことに気が付き、舌打ちをして煙草を戻す。
歩が何か言いたげに、俺の顔を見た時。
タイミング悪くノックの音がした。
「…あ、わりぃ。入れていい?」
健気に待つじーちゃんを放っておくわけにもいかず、俺は「どーぞ」と入るよう促す。
すると、ドアの外で言い合いが聞こえた。
弱々しい声と、強引な声。
…嫌な予感がするのは俺だけか?