俺は「何?」と聞く。




「お客様がお見えです」


「客ぅ?」


「はい。水谷様とおっしゃる…」


「──歩!!??!」




なんで!?
俺夢見ちゃってんの!?


だって歩が来るはずない。




「え、マジ?」


「はい。お会いする前に、律様が顔を見せるようにと」


「は!? 親父!?」




相変わらずわけ分かんねーなあいつ!


普通客が優先だろーがよ!




今親父に会う気分にはなれないし、一刻も早く事実を確かめたいので、言いつけを無視して下に向かう。



長い廊下を渡り、あとちょっとってところ。




「なっちゃ〜ん?」




不気味な声がして、バカな俺は足を止めた。


シカトすればいいものを。



どっから出てきたか分からない親父に、がっしりと肩を組まれる。




「何俺の命令、無視しよーとしてんの?」


「うっせぇ。早く行かせろ」


「あらぁ〜随分生意気な口利いちゃってんのねぇ」




ふざけた口調でギリギリと首を絞めるクソ親父。




「気色わりぃんだよてめーは!!」


「うん、まぁそれはいいからな?あの美人な子何者?」