意味もなく携帯を手に取ると、受信メール2件の表示が目に入る。
どーせ女だろうな。
この謹慎中の3日間、俺は誰とも連絡を取っていない。
執事のじーちゃんに頼んで、部屋にも入らせないようにした。
歩があんな状態だってのに、好きでもない女の相手?
出来るわけない。つーかしたくねぇ。
今はメールを開くのすら面倒で、テーブルの向こう側にあるソファーに放り投げる。
こう考えると俺、相当くだらねーことしてたんだな。
歩は大丈夫かなー。
つーか会いてぇなー。
なんて、俺らしくないことを思いながら目を閉じる。
目が覚めた時、いてくれればいいのに。
「奈津様」
眠りにつく一歩手前。あとちょっとで意識なくなりますって時に、ドアをノックする音がした。
じーちゃんの穏やかな声。
俺はゆっくりと上半身を起こし、肘で体を支える。
「はいはい、どーしましたぁ。あ、開けていーよ」
「失礼いたします」
丁寧に頭を下げて入ってくるじーちゃん。