真実を確かめたいけど、知りたくない。
そんな矛盾が見て取れた。
体まで震えだした歩を見て、“雅人”は…
言い訳どころか、開き直ったように「はっ」と笑った。
「まさか会うとは思わなかったな。運わりぃな俺も」
首筋を手でさすり、溜め息混じりに言う。
真面目な好青年だった俺のイメージは、跡形もなく消え去った。
「おい、てめぇ…」
拳を固く握る。
“雅人”はそんな俺を横目で一瞥し、更に続ける。
「歩、お前も人のこと言えねーよな。こんなガラの悪そうな男とつるんで。もう付き合ってんのか?」
「ちがっ…」
「歩が男に絡まれてたから送ってやったんだよ。てめぇの役目じゃねーのかよ?」
俺は口を挟む。
…イライラする。
自分の行動を正当化しようとするこの男に。
「まぁこの際だから言うけど」
“雅人”は口元に笑みを浮かべ、最低な言葉を放った。
「お前、男嫌いだかなんだか知らねぇけど。今まで付き合ってやったんだから、ありがたく思えよ」
「──っ!!」
「奈津!!」