寄ってきた賢が俺の金色を指差す。
この学校、規則厳しくて。
ピアスも髪染めんのも駄目。
どちらも当てはまる俺。
「うっせーよ。大体……」
反論しようとしたが、賢には全く違反の要素がないことに気が付いた。
口を閉ざした俺を見て、憎たらしく余裕の笑みを見せる賢。
黒髪をワックスでセットし、軽く着崩した制服。
キリッとしたわりと爽やかな顔立ち。
決して真面目な方ではないのに、あまり注意を受けない謎な奴。
…ルックスの爽やかさか?
それが大事なのか?
俺には程遠い言葉だ。
金髪にピアス、だらしなく着た制服。靴の潰し履き。
極め付けに、とても良いとは言えない目つき。
…目が細いのは父親譲りだから仕方ないとしよう。
「頑張れよ〜」
「終わったら帰るかんな!」
職員室。
椅子に座って待ち構えていた担任の前に来て、何も言わず見下ろす。
「…で、なぜ呼び出されたか分かるか?」
「知らないっす」
ヘラヘラととぼけて見せる。
適当にかわせばなんとかなる。