「お前らももう高校2年だ。まだ先のことだと思わず、将来についてよく考えろ」
進級してから毎日のように聞かされる、“将来のこと”。
先だか後だか知らねーけど、いい加減飽き飽きした。
教師の口癖、本当に勘弁してほしい。
特にあの偉そうな顔した、俺の担任の体育教師。
アイツが言うとわけもなくイライラする。
毎回遅刻っつーのもあって、ことごとく俺に嫌味言ってくる。
「東條(とうじょう)くん」
1限と2限の間の休み時間。
机にうつ伏せになって携帯をいじっていると、後ろから声を掛けられた。
声の主。
色白に縁無し眼鏡のもやしみたいな男子。
クラス替えもしたばかりだし、なんせこの存在感の薄さだから、当然名前も知らない。
「何?」
「あ、あの。先生が呼んでます…」
「はぁ?」
「ご、ごめんなさいっ」
先生って、アイツ?
例の担任?
「なんで」
「職員室に来いって…」
だるい。またかよ!
心の中で舌打ちする。
「奈津〜また呼び出しか? 遅刻か髪のことじゃね」