比べられるたびにそう思っていた。
「…つーかさ」
何も喋らなくなった俺に。
「自惚れんのもいい加減にしてくれる?」
歩は、衝撃的な一言を吐き捨てた。
「…は?」
「いきなり不機嫌になってるけど。誰でもかれでも同じ扱いすると思わないでよ」
「………」
「親が偉大な人だろーと関係ないし」
「………」
「あたしはアンタが凄いとかこれっぽっちも思っちゃいない」
「………」
「だから機嫌なんか取るつもりないから。今までどんな扱いされてきたか知らないけど、調子乗んな」
歩は一気に吐き捨てると、立ち上がって出ていった。
しばらくの間、俺は呆然とドアを見つめていた。