案の定キツい言葉が返ってきた。
けど、心なしか動揺しているように見えた。
それがなんだか面白くて。
「わりぃ。これいる!?」
「いらねーよっ!!」
指の間に挟んだ煙草を差し出すと、やっぱり突き返された。
照れてる?
…わけないか。
でも意外な反応だった。
案外純情な奴なのかもしれない、と思った。
歩はゴロンと仰向けに寝転がった。
大体の女子は、「汚れちゃうから嫌〜」なんて言って、そんなことしないと思うけど。
コイツはなんの躊躇いもなくやってのけたから。
他の奴とは違うというか、なんか変わってる。
「寝るの?」
「悪い?」
「俺寂しいじゃん」
「あたしには関係ない」
「…んなこと言うと襲うぞ」
「変態」
俺の冗談は一言で綺麗に片付けられた。
「やだぁ奈津ったら〜」なーんて返事が来るわけないが。
そういえば、俺は歩って呼んでるけど──。
「お前俺の名前知ってんの?」
歩は目を閉じたまま何も言わず…シカトかよ、と思い始めた頃に言葉を発した。